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「ハイスピード・ハイパワーなアナログ」で際立つ存在感、高電圧/大電流アンプで日本市場に切り込むApexApex Microtechnology マーケティング HelenAnn Brown氏/事業開発 Jens Eltze氏

アナログ半導体を手掛ける米Apex Microtechnologyは、ハイスピード・ハイパワーに特化しているという点で、他のアナログ半導体メーカーとは一線を画す存在だ。今後は、アナログ技術に対する高い専門知識と、主力製品であるハイスピード/高電圧/大電流出力のパワーオペアンプを武器に、日本市場でのビジネス拡大を狙う。戦略マーケティングマネジャーのHelenAnn Brown氏と事業開発ディレクターのJens Eltze氏に、同社の強みと日本でのビジネス拡大に対する意気込みを聞いた。

» 2022年01月13日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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「ハイスピード/高電圧/大電流出力」に特化

――まずはApex Microtechnologyについて教えてください。

Apex Microtechnology 戦略マーケティングマネジャーのHelenAnn Brown氏

HelenAnn Brown氏 Apex Microtechnology(以下、Apex)は1980年に米国アリゾナ州ツーソンに設立されたファブレス半導体メーカーで、ハイパワーのアナログデバイスの開発を手掛けている。現在の従業員は約90人で、エンジニアの比率が高い。2007年にCirrus Logicに買収されたが、その後再び独立系企業に戻り、2018年にHEICOのElectronic Technologies Groupの子会社となった。そのため、エレクトロニクスと航空宇宙の分野で、HEICOが傘下に持つさまざまな企業の専門技術にもアクセスできるという強みを持っている。

 産業機器、業務用プリンター、医療機器、航空宇宙/防衛、半導体製造装置、電子顕微鏡の6つの市場にフォーカスして事業を展開している。採用実績の一例として、商業用航空機のフライトコントロール、医療検査機器、集束イオンビームウエハーテスト装置など、高い精度を要求される機器がある。

Jens Eltze氏 ビジネスの大半を海外で展開しているので、顧客サポートやエンジニアリングサポートを現地の言葉で行うスタッフを、世界各地に置いている。

――Apexでは、どういった技術と製品に強みを持っていますか。

Brown氏 大きく分けて、パワーオペアンプ、D級アンプやモータードライバーなどのPWM(パルス幅変調)アンプ、精密基準電圧リファレンスという3つの製品群がある。

 当社の最大の特長は、ハイスピード、高電圧、大電流出力の製品に注力している点だ。それが、他のアナログ半導体メーカーと一線を画す、ユニークなポジションを確立している理由になっている。

 例えばパワーオペアンプでは、定格電圧範囲34〜2500V、定格電流範囲1〜50A、高速度3000V/μsで製品をラインアップしている。このレンジの製品を手掛けるアナログ半導体メーカーは非常に少ない。

Eltze氏 「ハイスピード、高電圧、大電流の素子を小型で高効率なソリューションとして提供する」、それがわれわれの強みだ。当社が手掛ける製品群の種類は、他社に比べると少ないようにも見えるが、それはApexが、ハイパワーが要求されるニッチな用途に絞って製品を展開しているからだ。定格電圧が高いSiCパワー素子の試験装置に向けた高電圧パワーオペアンプなどは、その一例になる。

 ハイパワーの製品を小型化するのは簡単なことではない。デバイスを小型化すると実装後の動作の信頼性が課題となるが、当社は高度なアナログ技術で高い信頼性を実現している。同時に、実装後の十分なサポート体制も整えている。

他のアナログ半導体メーカーを“補完”する存在

――アナログ半導体市場で高いシェアを持つメーカーがいくつかありますが、こうしたメーカーに対するApexの強みを教えてください。

Apex Microtechnology 事業開発ディレクターのJens Eltze氏

Eltze氏 当社の製品は、他のアナログ半導体メーカーの製品を補完する位置付けになっている。これらのメーカーの製品ロードマップは、より低電力、低電圧の領域を目指している。当社の製品は、よりハイスピード、高電圧、大電流にフォーカスしているので、そもそも開発の方向性が異なり、製品ラインアップの重複もほぼない。

Brown氏 制御装置や航空機、軍用機器を対象としていることもあり、製品の供給期間が長いことも特長だ。1980年の創業当時に設計した製品が、いまだに現役で使用されているケースもある。

――2021年の業績は、いかがでしたか。

Eltze氏 当社の業績は公開していないが、HEICOの2020年度(2020年10月31日を末日とする)の総売上高は17億8700万米ドルで、Electronic Technologies Groupの売上高は8億7400万米ドルだった。

――半導体/電子部品の供給難が続いていますが、ビジネスへの影響はいかがでしょうか。

Brown氏 部品や材料のリードタイムが従来よりも長くなってきたと気付いた時点で、対策チームを立ち上げ、サプライチェーンや当社の顧客に対する影響をできる限り抑える体制を整えた。そのため、現在のところ懸念するほどの大きな影響はない。

――2022年の戦略を教えてください。

Brown氏 SiCモジュールの拡充を計画している。日本市場に向けても、ハイスピードとハイパワー、小型のフォームファクターに特化した「SA310」「SA110」などの製品を拡販していきたい。SA310は、ブラシレスDCモータードライバーICで定格電圧は650V。SA110は定格400Vのハーフブリッジモジュールで、ゲートドライバーを内蔵している。

Eltze氏 IC製品の提供も拡大していく計画だ。特に日本市場では、高電圧パワーオペアンプ「PA165」などの製品をアピールしていく。PA165は、出力電圧が最大200Vで出力電流は4A。20×20mmと小型なパッケージの上面にヒートシンクを設けている。当社はパッケージ技術も開発していて、PA165のパッケージもわれわれが開発したものだ。

「PA165」の外観。上面にヒートシンクを搭載した独自のパッケージは、Apexが開発した

日本向けコンテンツとサポートを充実させ、ビジネス規模の拡大を図る

――日本市場をどのように見ていますか。日本での今後の戦略をお聞かせください。

Eltze氏 日本はテスト/検査装置や医療機器、航空機などで大きな市場があり、Apexにとって極めて重要な市場だ。当社は既に40年近く、日本でビジネスを行っている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前には定期的に日本の顧客を訪問していた。現在も複数の顧客に向けて専門のソリューションを開発しているところだ。

 ただ、日本でのビジネス規模はまだ小さいので、今後は認知度の向上も含め、3〜5年をかけてさまざまな施策を行っていく。まずは、売上高を2021年比で2倍に伸ばすことが目標だ。

 当社のソリューションの存在を知らず、自ら部品やICを調達してハイスピード/高電圧/大電流に対応できるモジュールを組み立てている設計者も多い。ぜひ、Apexのソリューションを知っていただき、開発時間を短縮して限られたリソースを有効に使ってほしい。

Brown氏 日本でのビジネスをさらに拡大するための準備として、専門のアプリケーションエンジニアチームをそろえている他、ウェビナーも用意した。日本での営業活動を担当するGT Internationalとともに、2022年以降はApexの日本向けサイトも準備する。データシートやウェビナーなどのコンテンツの翻訳も行い、Apexの製品群を紹介することに加え、日本語でのサポートの拡充にも投資していく。


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提供:Apex Microtechnology
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2022年2月10日


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