会社に行っても自分の席がない。それがこんなに切ないことだとは知らなかった。
メイド服に身を包んだ謎の総務部員・山咲桃花から“フリーアドレス制”を強要されてから1週間。毎日場所を変えては空いているデスクで仕事をするものの、「なんでこの人ここにいるの」とでも言いたげな周囲からの視線が耐えがたい。
……そりゃそうだ。フリーアドレスなのは社内で俺だけなんだから。
秋晴れ。通勤路に漂うキンモクセイの匂い。そんなさわやかな朝に反し、俺は今日も沈んだ気持ちで会社へと足を運ぶ。
「やれやれ、とんだことになったもんだな……」。誰ともなくつぶやいたその次の瞬間、背中から予期しない衝撃が伝わってきた。
ドンッ
「わっ!」
振り向いた先にいたのは、IT担当者としてうちの会社に中途入社してきた幼馴染・桜坂彩乃。小学生のころと変わらないいたずらっぽい笑顔を浮かべながら、目を丸くして驚く俺の顔を嬉しそうに眺めている。
「な、なんだよ!」
「相変わらずニッブいわねー。何回呼んだって気付かないんだもん」
気付かなかったことには多少俺の非があるかもしれないが、心臓が出るほどの勢いで善良な市民の背中を叩くのはどうかと思うぞ。
「……ふーん、その様子じゃまだ落ち込んでるみたいね。あのメイド服女のせいでしょ? いくらアンタが柔順だからといっていきなりデスクを取り上げるなんて、横暴にもほどがあるわね」
半年前に俺からPCを取り上げたお前が言うか? そう答えようとする俺の言葉をさえぎるように、彩乃の口から少し意外な言葉が飛び出した。
「ま、一応会社の肝いりプロジェクトに選ばれたわけなんだから、胸張って頑張ってみなさいよ。私が渡した“秘密兵器”もあるんだからさ」
「……彩乃……」
「さーて仕事だ仕事!」。心なしかやる気がよみがえった俺は、会社の空きデスクに着席するなりDell Venue 8 Pro タブレットで設定されている仮想デスクトップを起動する。確かにこれならどこからでも1つのデスクトップ画面にアクセスでき、自分に固定デスクがないことを意識せずに仕事できそうだ。
「うふふ♪ さすが宇津木さん。もうすっかりフリーアドレスに慣れたみたいですね?♪」
やさしげな声に振り向くと、そこにはどう見ても10代にしか見えないメイド……じゃなくて総務担当者(と言い張る)桃花が、俺にこんな異常事態を味わわせている張本人とは思えない笑顔で……(続きはコンテンツポータルにてご覧いただけます)
社員旅行で南の島にやってきた憂介・彩乃たち。水着姿に照れながらバカンスを楽しんでいた一同だったが、なぜか無人島に漂流!? そんな2人の前に不思議な少女が現れ……
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