脱Excelで“本業”に専念――東京スター銀行がIT資産管理を委託した理由ソフトウェア管理業務をアウトソーシング

地味で工数がかかるうえ、少しのミスが経営リスクにつながる「IT資産管理」。そんな業務をプロに任せ、IT部門の“本業”に専念しようと決断した企業がある。東京・赤坂に本店を置く「東京スター銀行」だ。同社が選んだのはウチダスペクトラムの「ITAMマネージドサービス powered by Flexera Software」だった。その理由とは?

» 2017年07月24日 10時00分 公開
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 仮想化やクラウドの採用で企業のIT基盤が複雑化する中、ソフトウェア資産の管理も複雑化する一方だ。一歩間違えれば、莫大なライセンス料を請求されるケースもあるため、IT部門としても看過できない。

 とはいえ、IT部門は資産管理だけをしていればよいというものではない。他の業務もあるだろうし、より直接的にビジネスへ貢献するような動きを求められることもあるだろう。こうした状況の中で、ソフトウェアの資産管理を“プロに任せる”という選択をした企業がある。東京・赤坂に本店を置く「東京スター銀行」だ。

 同社はかねてより、効率的かつ正確な資産管理を行うために、さまざまな方法を模索していたという。

photo 東京・赤坂に本店を置く「東京スター銀行」

ライセンスはExcelで集計、「管理しているとはいえない状態」

photo 東京スター銀行 IT戦略部長 吉原丈司氏

 東京スター銀行が資産管理ツールの導入を検討し始めたのは2015年のこと。勘定系システムの更改プロジェクトが一段落し、手薄だった資産管理体制の改善に着手することを決めたという。

 「当行は以前より、ライセンスの管理方法について課題意識を持っていましたが、勘定系システムの更改プロジェクトに集中していたため、手つかずになっていました。そして、そもそも資産管理の人員が少なく、全体を俯瞰できる人がいませんでした。これはビジネスとして大きなリスクだと言えます」(東京スター銀行 IT戦略部長 吉原丈司氏)

 ツールを検討した当時は、個別のシステムやソフトごとの契約書をExcelなどでまとめ、1年に1回棚卸しをするという「積極的に管理をしているといえるかどうか分からない」(吉原氏)ような状況だった。

 特にマイクロソフトやオラクル、IBMといったベンダーのソフトウェアライセンスは、仮想化システムを導入してからライセンス体系が大きく変わったこともあり、管理がより難しくなってしまっていた。特に、ライセンス体系が変わったときに、有利なのか不利なのかが分からない状況が問題だったと吉原氏は話す。

 「特にサーバ関連は使っているうちに構成が変わることもあるので、気付かないうちにライセンス体系が変わっていたということもあり得ます。ベンダー側も当然、顧客側に通知するのですが、それで完璧に理解できるかと言われれば、そうではありません。

 また、古いシステムになると、契約時にライセンスについてどう交渉したのか誰も把握していないという“ブラックボックス化”の問題もあります。私たちが把握していない部分でコンプライアンス違反を起こしていないかどうか、という点で不安がありました」(吉原氏)

業務の“アウトソーシング”が導入の決め手に

 それからセミナーなどでIT資産管理について情報を収集し、最終的に3社の製品を比較検討した。中でも重視したのは「管理プロセスの構築力」だ。管理プロセスが確立していなかったため、ソリューションとともに、標準化されたプロセスまで導入できるかどうかが重要なポイントだった。

 「単に箱としてソリューションを入れて管理するだけだったら、どのベンダーも大差はないのですが、ベースライン構築、つまりライセンス契約や購入情報、ライセンスの割り当て状態を管理するためのベースラインを中心とする初回の棚卸し作業をどれだけやってもらえるか、といった点も大事ですね」(吉原氏)

 加えて、ツールがクラウドサービスで提供可能である点も重視した。新たなソフトウェアをオンプレミスで導入するとなると、管理対象が増えてしまうためだ。

 さまざまな要素で比較検討した結果、最終的にウチダスペクトラムの「ITAMマネージドサービス powered by Flexera Software」を採用した。決め手となったのは、ソフトウェア管理業務をアウトソーシングできることだ。新たな契約が発生したときに、ライセンス契約書など必要なデータをウチダスペクトラム側に提供すれば、ツールへのデータ入力や適切なライセンス割り当てを行ってくれる。

 「私たちは小さな所帯ですから、全部をわれわれで管理しようとすると、現場に非常に大きな業務負荷がかかってしまいます。資産管理は重要な業務ですが、コアの業務ではありません。そのため、そこは専門家に任せた方がいいだろうと考えました。そこまで含めたサポートを考えると、ウチダスペクトラムが最もニーズに合っていたのです」(吉原氏)

現場、そしてベンダーとの密なコミュニケーションが成功のカギ

 こうして2016年の春から、資産の棚卸しと業務プロセスの構築を開始した。アウトソーシングまで含めたプロセス変革であるため、プロジェクト開始当初は「どう進めればいいか分からない」という場面も多く、手探り状態だったという。ツールの構築とは異なり、期待値を擦り合わせるのが難しいためだ。

 「確かにプロジェクトの進行に時間はかかりましたが、根本的な部分まで立ち戻って考え、議論できたことには大きな意味があると思います。議論をせずに割り切ってしまうと、稼働後に不満が出てきかねません。そういう意味では、必要なプロセス、必要な苦労だったと思っています」(吉原氏)

 ウチダスペクトラム側とも、週1〜2回の打ち合わせの中で業務プロセスについてさまざまな議論を行った。「互いに要求を出し合い、しっかりとコミュニケーションが取れたことがプロジェクトの成功につながった」と吉原氏は振り返る。

 そして、2016年11月には大体のシステム構築が終わり、テスト稼働に入った。実際にツールを動かしてみると、多少ライセンス数の食い違いがあったものの、大きなトラブルは発生しなかったという。

 「実のところ、もっと差が出ると思っていたんです。つまり、余分にライセンスを買っていると思っていたんですよ。それでコストが削減できるかなと期待していたのですが、各システム管理者がちゃんと管理していたこともあって、適正な数を保っていました。個々の最適化はされていたというわけです。

 ただ、われわれは大規模な銀行ではないため、Excelでの管理でもこれまで抑えが効いたと思っています。しかし、これがもっと大きな規模になれば、非常に厳しくなってくる。ギリギリのタイミングでデータを集約できたと思っています」(吉原氏)

「コンプライアンス違反の心配がなくなった」

 資産管理ツール導入の効果はすぐに表れたという。業務プロセスが変わり、管理工数は大きく減った。現在はオラクルやマイクロソフトのライセンスをツールに登録しているが、今後、さまざまな細かい単位のソフトウェアライセンスを登録することで、メリットは大きくなるだろうと吉原氏は予測する。

 「大きなライセンスでも、小さなライセンスでも、管理するという手間で考えればどのソフトウェアも同じです。これから細かいライセンスもどんどんツールに入れていくことで、生産性を高められると思っています。そして何よりも、コンプライアンス違反をしなくて済むようになった、その点を心配しなくていいようになった、というのは非常に大きいですね」(吉原氏)

 人材の異動に対応しやすくなったのも大きな効果だ。情報管理の属人化を避け、情報の正しさを担保していく――ライセンスの管理に課題認識があり、コンプライアンス違反を意識していた東京スター銀行だったが、これからは情報の正確さを担保する役目をウチダスペクトラムが担ってくれる。

 ソフトウェアライセンス契約に必要なスキルセットである、ライセンス契約書を読み込む力や、ライセンスモデルを理解して割り当てが適切かどうかを管理する能力は、案外特殊なもので、会得するまでには時間がかかる。他の業務がある中で、これだけに膨大な時間を割くのは難しい。その意味では、アウトソーシングは合理的な選択といえるだろう。

photo ライセンス毎に消費が計算され、購入数との差分による現在のライセンスの在庫状況と不足分が確認できる

ビジネスに寄与するIT部門の“本業”に注力する

 資産管理業務を委託したことで得られたリソースは、今後のビジネス成長に投資していく予定だという。フィンテックのほかにもロボティクス、人工知能などは、生産性向上に向けてIT部門が取り組むべき課題だと吉原氏は認識している。

 「当行では、その言葉を聞かない日がないくらい、『生産性』というのが重要なキーワードになっています。その観点で、IT主導での生産性向上施策として、新しいIT基盤をベースにした働き方改革を計画しています。高度化するサイバーセキュリティへの対応もあり、やることが山積みなのです」(吉原氏)

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 今ある資産を整理し、効率的な運用を始めた東京スター銀行。これから新たな取り組みを始めることで、社内のIT資産は変化していくだろう。その際に、ウチダスペクトラムからのフィードバックを期待しているという。

 「われわれは今、サーバ機器の外部データセンター集約に取り組んでいます。その取り組みの中で、サーバ構成の見直しや仮想サーバの増設を予定しています。システムの基盤更改や新しいシステムを導入する際は、これまで以上にソフトウェアライセンス管理が重要になると感じています。そこに資産管理のプロとしての知見をいただければと期待しているのです」(吉原氏)

 ビジネスの変化に合わせて、最適なIT環境を整備していくために、資産管理の問題は避けては通れない。As-IsからTo-Beへ、その時々であるべき管理の姿を共に考えていくことができる。東京スター銀行は、ビジネスに寄与する強力なパートナーを得たといえるだろう。

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提供:ウチダスペクトラム株式会社、フレクセラ・ソフトウェア合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2017年9月30日

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