企業評価のグローバル基準、IFRSによる「攻めの会計」の道筋とは?

近年、IFRSを企業評価の尺度として捉える機運が急速に進んでいる。「攻めの会計」においてIFRSの意義は増しており、その点の理解を欠いた場合、財務戦略および広報戦略などの面で同業他社に後れを取りかねない。果たして企業は今後、IFRSにどう向き合うべきなのか。

» 2018年02月13日 10時00分 公開
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経営実態を把握するグローバルな尺度

 2019年の事業年度から適用される「IFRS16新リース会計基準」。財務基盤に与えるインパクトの大きさと、会計実務での対応の難しさは、過去の連載で紹介してきた通りである。

 IFRS未適用の企業には、これらを「対岸の火事」と捉えるところがあるかもしれない。だが、そこには誤解がある。

プロシップ システム営業本部 海外ビジネス営業部 部長代行 木本彰祐氏

 2005年のEUでの導入を皮切りに、IFRSは100以上の国と地域で自国の会計基準や、それに並ぶ基準として利用されている。従来、各国には独自の会計基準が存在していたことから、決算数値では読み取れない異なる実態が存在していた。しかし、IFRSによって、統一の基準が設けられ、国を問わない企業評価が可能となった。

 そもそも企業評価は極めて難しい取り組みだ。プロシップのシステム営業本部 海外ビジネス営業部で部長代行を務める木本彰祐氏は、「経営者にとって、自社が展開する各国子会社の現状を同じ基準で比較すること、そして自社の価値を分かりやすく、世界中に伝えること、このためにIFRSは両条件に合致する有効な手段と位置付けることができます。国内で早期適用を表明する企業が161社(2018年1月末時点)に上りましたが、IFRSの効果的な活用が実証されているためだと考えています。だからこそ、企業活動のグローバル化が加速する中にあって、今後、より広く活用されることは、ほぼ間違いのないところなのです」と力を込める。

資産評価の基準として増す存在感

 日本国内においてグローバル評価の統一と、強化へ向けた兆候はすでに表れている。「企業の評価手法としてROE(Return On Equity:自己資本利益率)からROA(Return On Asset:総資産利益率)に軸足を移す」動きと、「上場企業に対する海外子会社を含めた内部統制の強化」の動きの2つがその兆候だ。

 まず、前者の動きが本格化したのは2017年6月の日本政府による「未来投資戦略2017」がきっかけだ。同レポートでは欧米企業と日本企業の競争力評価の基準としてROAが用いられている。従来のROE重視では、自社株買いなどによる数値調整の余地が大きいため、「継続して稼ぐ力を強化する」企業の本質的な取り組みから逸脱しかねないとする認識が広まった。現にROAを左右する総資本の資本政策による動かしにくさは、経理/会計スタッフであれば容易に理解できるはずである。

 また後者は、近年、日本企業の海外子会社における不正会計問題の増加に起因する。これを踏まえ、金融庁傘下の公認会計士・監査委員会は2017年度のモニタリング基本計画で、海外事業も含めた企業の実務実態に対する具体的な評価の必要性を指摘。監査法人と上場企業には早急な対応が求められている。

 この2つからクローズアップされてきているのが、自社資産の正確な把握と、それを評価する仕組み作りの重要性である。

IFRSを活用するための資産管理ツール

 海外法人の内部統制の強化で見逃せないのが、資産(棚卸資産および、その他の資産)の不正流用である。その有効な防止策は、抜け穴や発覚を遅らせる原因を排すること。つまり資産管理ルールの策定と運用、適切なモニタリングとなる。

 日本基準からIFRSへの切り替えとなれば、作業は非常に大掛かりなものとなりシステム側の対応も不可欠だ。プロシップの資産管理ツール「ProPlus」は、固定資産やリース資産管理を中心とした機能の網羅性、豊富なノウハウに裏打ちされた複数帳簿への対応といった使い勝手で高く評価されており、既にIFRS対応を目的に50社の企業が採用している。

 内部統制の強化にもProPlusは、大いに活用を見込むことができる。ProPlusは子会社の各種データへのリモートアクセスが本社にいながら可能な仕組みであるため、海外現地で資産計上された固定資産情報のリアルタイムでの把握、ひいては監督も可能となる。

 「不正流用を防ぐ手段として、固定資産に限定した現物管理の強化でも、十分な抑止効果を見込めます。この手法であれば、必要な労力や時間も抑えられ、現地のモノの紛失という問題に直接的な効果を発揮しやすいため、実施に乗り出しやすくもあります。その後、管理対象を増やすことで、段階的な内部統制の高度化が可能です」(木本氏)

 海外含めた資産管理の整備を実現していくに当たり、ProPlusには固定資産の棚卸業務を支援するツールも用意されている。作業時間と負荷を軽減し、かつ導入と運用コストを抑えることを目的とした「ProPlus Pit」である。

統一基準の連結データが判断の精度向上を支援

 ProPlus Pitは、台帳上の資産データとバーコードを貼り付けた現物とをひも付けて管理するためのツールである。棚卸し時にはスマホのカメラでバーコードを読み取るだけで自動的に帳簿と突き合わされ、作業結果から現物の不足や余剰を特定する。

 「棚卸しは手間暇のかかる作業です。しかし、ProPlus Pitにより数える手間や紙ベースでの報告・承認のフローが不要となり、作業は大幅に効率化されます。また、クラウド型であるためイニシャルコストの負担が少なく、すぐに利用を開始することもできます。これらのメリットから、物品の紛失が多い海外法人において、資産管理の厳格化を目的としたProPlus Pitの引き合いはここ数年、右肩上がりの伸びを見せています」(木本氏)

 新興国は日本よりも洪水などの災害に見舞われるリスクが高い。ただし、そこで資産台帳に不備があった場合には保険金が支払われない可能性がある。資産管理の徹底は、リスク対策の上でも重要だ。

 また、24カ国の税務に標準対応した唯一の国産パッケージであることも海外子会社を含めた企業の実態把握におけるProPlusのメリットだ。そもそも連結決算を作成する企業でも、その中身を見れば、各国の税務基準による現地法人の数値を単純に合算したものがほとんどだ。法的には何ら問題ないが、統一基準と比較した際、評価の誤差は避けられない。だが、ProPlusでは現地基準での登録データを基に、IFRS基準や管理会計基準の自動データ生成が可能だ。木本氏は「経営者にとって企業実態の正確な把握は、意思決定における精度向上で鍵を握り、そのために必要なデータ入手もProPlusなら簡単なのです」と語る。

 思わぬ付帯効果もあるという。日本から現地に固定資産の情報提供を求めることはよくあることだ。ただし、その際に意図が正確に伝わらず、何度も現地に修正を求めた結果、時差の関係から、入手に思わぬ時間を要することもしばしばである。しかし、ProPlusでは日本から現地情報にいつでもアクセスでき、直接入手することが可能なため、従来のレポート作成などの業務改善も期待できる。事実、情報の入手に要する時間を5分の1にまで短縮されたケースもあるのだという。

リースを含めた企業の実態把握も実現

 木本氏によると、海外に幾つも拠点を抱える企業にとって、現地でのリース契約の実態把握は長年の懸案項目であったという。距離的に離れ、かつオフバランスで処理されるため、「リースを利用していることは確かなものの、何を、何の目的で、どれだけ利用しているのか見当もつかず、何とか可視化できないか」との相談はこれまでにも少なからず寄せられていました。実態が見えないことは、企業経営における大きなリスク要因だ。IFRS16によって原則、全てのリース取引がオンバランス化される意義は、その点でも小さくない。

 実践を支援する取り組みもプロシップはいち早く推し進めてきた。IFRS適用によるオンバランス化に当たっては個々のリース契約について、BS上の価値を算出するための煩雑な計算が必要となるが、プロシップでは適用時点の影響額を試算するExcelベースの試算ツールを他社に先んじて提供。同ツールは所定欄に必要な数値を入力するだけと操作が極めて簡単で、英語版も用意されていることから、現地展開を通じてIFRS未適用の企業でも、リース契約を織り込んだ企業の実態把握に役立てられる。


 IFRS利用の広がりを背景に、IFRSによる“攻めの会計”を指向する企業は着実に増加している。プロシップのProPlusが果たす役割は、今後、さらに大きなものとなりそうだ。

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提供:株式会社プロシップ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2018年3月12日