運用管理に苦しむ情シスを救う「現実的な」ソリューションとは? ノークリサーチ・岩上氏に聞く

ITは進化しているはずなのに、運用管理の負荷は増える一方。ビジネスの要件に合わせて複雑さが増したシステムの運用管理をどう効率化すべきか。調査会社ノークリサーチの岩上氏と、富士通HCI製品の担当者がその解決策を話し合いました。

» 2018年02月14日 10時00分 公開
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 クラウドや仮想化など、テクノロジーは進化しているはずなのに、運用管理の負荷や課題は減るどころか増える一方だ――。

 ITmedia エンタープライズが、運用管理に悩む中堅企業4社の情シスを集めて行った覆面座談会では、人手不足やスキル継承の難しさ、システムの設計や構築に時間がかかるなど、複雑さが増したシステム基盤の運用管理に苦しむ現場の姿が見えてきました。

 こうした課題を解決し、情報システム部門の業務効率を高めるためには、そして、理想的な運用管理を実現するにはどうすればよいのでしょうか。座談会で上がった課題を基に、調査会社ノークリサーチの岩上由高氏と富士通の嶋田尚恭氏、尾藤篤氏が解決策を話し合いました。

photo 運用管理に悩む情シスへの特効薬はあるのか。ノークリサーチの岩上由高氏と富士通の尾藤篤氏、嶋田尚恭氏の3人が解決策を話し合いました。

「クラウドとオンプレ」の使い分け、そして運用管理の課題とは?

photo ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏

嶋田氏: 座談会では、セキュリティ面でリスクがあったり、ミッションクリティカルなものであったりと、企業によって特徴が異なるものの、クラウドに出したくないデータが4社それぞれにあることが分かりました。むやみに管理工数が増えてしまうと、リソースが厳しくなりがちな中堅企業においては、クラウドとオンプレミスの使い分けが課題になっていると感じました。

岩上氏: ノークリサーチが年商500億円未満の中堅(中小)企業700社を対象に実施した調査で「オンプレミスのサーバ環境を選んだ理由」を尋ねたところ、「データ保護の観点から、業務システムを社外に出せない」という回答が最も多く挙がりました。一方で「クラウドのサーバ環境を選んだ理由」では「アクセス数」「処理性能」「データ量」の増減に対して「迅速/柔軟に対応できる」という理由が多く挙げられています。

 この調査結果から「迅速性/柔軟性」が「データ保護の重要性」を上回ればクラウド、そうでない場合はオンプレミスという使い分けの基準があるものと考えられます。

尾藤氏: 富士通の認識も、岩上さんと大きな違いはありません。お客さまから「どちらが良いか」と尋ねられたら「セキュリティポリシー次第になります」とお答えします。お客さまと相談しながら、導入を進めるケースが多いですね。

嶋田氏: クラウドは既に、ごく一般的な選択肢になっています。クラウドかオンプレミスか、という選択は、セキュリティポリシーやコスト面、あるいはサービスを柔軟に変えられるかという観点で考えることになります。富士通がお客さまに対し、「クラウドはこうあるべき」「オンプレミスはこうあるべき」と言うことはありません。あくまでもお客さまに合わせて最適なものを提供しています。

photo オンプレミスのサーバ環境を選んだ理由(出典:2017年版中堅・中小企業におけるサーバ導入の実態と展望レポート(ノークリサーチ)、n=700)
photo クラウド環境を選んだ理由(出典:2017年版中堅・中小企業におけるサーバ導入の実態と展望レポート(ノークリサーチ)、n=368)

岩上氏: 「オンプレミスのサーバ環境を選んだ理由」では、2番目に「クラウドに移行したいが、何から始めたらよいのか分からない」、3番目に「クラウドに移行したいが、どのサービスが良いか判断できない」という項目が続きます。つまり、クラウドの強みである「迅速性/柔軟性」に対するニーズは、オンプレミスを選んだユーザー企業も持っているわけです。

 これを実現するための有効な手段の1つが「サーバ仮想化」です。しかし、サーバ仮想化の実現手段は複雑で難度が高く、インシデント対応も容易ではありません。結果としてスキル継承が難しく、従来型のサーバが乱立してサイロ化してしまいます。「迅速性/柔軟性」を実現したいと考える企業は多いものの、サーバ仮想化を実現する手段が複雑で次の一歩を踏み出せないというのが、中堅企業の実態なのではないでしょうか。

運用管理業務を効率化する現実的なソリューション「HCI」

photo 富士通 グローバルビジネス戦略本部 システムプラットフォームビジネス統括部 PRIMERGYビジネス推進部 マネージャー 尾藤篤氏

尾藤氏: 座談会では、理想的なオンプレミスの運用管理について尋ねると、自動化や運用管理のシンプル化、インフラのスモールスタートと柔軟な拡張といった点が挙がりました。こうしたニーズを満たし、彼らの課題を解決する現実的な方法は「HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)」ではないかと感じています。

岩上氏: 私も同感です。HCIはサーバ仮想化環境において、単にSANを代替するものではありません。「Software Defined」という大きな潮流の1つとして捉えることが大切です。HCIの本質は「サーバ仮想化を導入できなかった中堅企業の背中を強く押すもの」であり、システム環境全体をシンプルにする「Software Defined」の流れの中で「システム運用管理の負担を軽減するもの」であると考えています。

嶋田氏: 富士通はサーバ仮想化を効率良く導入し、運用負荷を下げたいというお客さまに対して、以前からコンバージドシステムを提供してきました。サーバだけではなく、ストレージやネットワークも含めて、導入、運用、保守を一元化できる垂直統合型製品です。そうした中、仮想化技術がどんどん進展し、現在はストレージやネットワークも含めて、一般的なサーバを利用しながらソフトウェアで仮想化するという潮流になっています。富士通もこのニーズに合わせて、お客さまの課題を解決するHCI製品「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX(以下、PRIMEFLEX)」を用意しています。

尾藤氏: お客さまの中には、サーバ仮想化もハードルが高いと感じている企業もあります。そうした企業に「高いスキルを持つ人材がいなくても、仮想化のメリットが得られる」という部分を重視し、製品開発部門にフィードバックしていますね。中堅企業でも、情報システムの専任担当者が不在で、他部門が兼任しているケースもあります。そのため「簡単であること」を極限まで追求し、管理者の負荷を少しでも減らせるような製品を目指しています。

岩上氏: 「専任担当者が不在なら、アウトソーシングすればよいのではないか」という考え方もあります。しかし、そもそも専任担当者が不在という企業は、情報システムにコストをかけていないわけで、アウトソーシングするとはとても思えません。ですから「モノを扱いやすくする」というのは非常に大事なことで、その点で、HCIはこれまでサーバ仮想化に踏み出せなかった企業にとって、現実的なソリューションだと思います。

HCI普及への最大の障壁は「慣れ」?

岩上氏: HCIについては、「これまでハードウェアで処理してきた機能をソフトウェアに切り替えても大丈夫なのか」という質問が寄せられることもあります。その質問に対し、私はスマートフォンを例に挙げて説明しています。

 スマートフォンは、電話やメール、スケジューラの機能が全て1台の端末で稼働するソフトウェアによって実現しており、それぞれの機能別に、別の端末を持つようなことはしません。HCIはいわば、これと同じ考え方です。従来は機能別に稼働していたサーバの役割を集約するだけなのです。この話をすると、皆さん「なるほどね」とうなずき、サーバ仮想化やHCIに対して前向きになってくれます。

 ユーザーにHCI導入の課題を聞くと、コストや性能もさることながら、「管理や運用のノウハウがまだ蓄積されていない」という項目を選ぶ企業が少なくありません。「慣れ」や「不安」という心理的な障壁が、導入や移行を妨げる要因として最も大きいように思います。

photo HCI製品の課題として考えられる事柄(出典:2017年版中堅・中小企業におけるサーバ導入の実態と展望レポート(ノークリサーチ)、n=602)

尾藤氏: お客さまの移行を促すために、運用の部分も含めたHCIの価値をお話しすることが多いのですが、お客さまに心理的な障壁があることは確かです。その障壁を乗り越えてもらうために、どのような提案をしていくかは私たちの課題でしょう。ただ、最近は市場全体でHCIに対する注目度が高まっているので、その価値を感じてもらいやすい環境になりつつあると感じています。

photo 富士通 データセンタプラットフォーム事業本部 コンバージドインフラストラクチャ開発統括部 マネージャー 嶋田尚恭氏

嶋田氏: 富士通はグローバルをターゲットに製品開発を進めていますが、欧米ではトップの意思決定により新しい技術をいち早く取り入れ、削減できたコストを利益の源泉となる事業に投資するという考え方が主流です。一方、日本では現場が強く、企業と取引関係にあるベンダーとの調整も必要なので、新しい技術の導入は遅れ気味になる傾向があります。しかし、HCIは現場の課題を解決するツールですから、そこが認められることによって障壁が取り払われ、今後どんどん普及していくと期待しています。

岩上氏: 従来型のサーバを導入してシステムをガッチリと固めてしまうと、次のシステム更新時期までの間に、ビジネスで競合他社に対して遅れてしまうリスクも考えられます。その点、HCIをシステム基盤として用意しておけば、すぐにサービスを立ち上げたり、トライアルで新しいシステムを試したりできます。幸い日本の中堅企業の多くは、「ビジネスをスピーディーに進めなければいけない」という意識を持っているので、ビジネスを柔軟かつ迅速に始められるシステム基盤を手元に置いておくことの有用性を理解しやすいと思います。

ユーザーへの“やさしさ”を意識した富士通「PRIMEFLEX」

岩上氏: HCIは柔軟なシステム基盤をオンプレミス環境でも実現するものですが、サーバベンダー各社の市場競争が激化する中、差別化ポイントになるのは運用管理ツールの部分です。

 どのHCI製品もGUIベースの運用管理ツールを用意していますが、中にはちょっと細かい制御を行いたいときにコマンドラインベースを使わなければならないケースもあります。ユーザーの運用管理業務を効率化するには、GUIベースの運用管理ツールが肝になりますが、富士通ではどのように取り組んでいるのでしょうか?

嶋田氏: HCIは従来のサーバ仮想化に加え、ソフトウェアによって仮想化されたストレージという新しいテクノロジーを同時に運用管理していくことになります。ここが心理的な障壁を高める要因になっているので、富士通のPRIMEFLEXでは、ハードウェアだけでなくソフトウェアも含めてユーザビリティを最も重視して設計し、お客さまの使いやすさを追求するというスタンスで臨んでいます。

尾藤氏: 中堅企業のお客さまの中には、いかに使いやすいGUIベースの運用管理ツールだといわれても、インタフェースが英語表記だと、拒否反応を示してしまうケースもあるでしょう。PRIMEFLEXの運用管理ツールは、全て日本語で分かりやすく表記していますし、必要な機能をシンプルに扱えることを重視して開発しています。それに加え、日本企業らしい導入、運用、保守というワンストップのサポートも大切にしています。

嶋田氏: PRIMEFLEXに搭載された新しい運用管理ツールは、サーバだけでなくデータセンターのファシリティも含めて管理できるように一新しています。UIの部分も、富士通なりに考えた次世代インタフェースを採用し、使いやすさを追求しています。日本語対応はもちろんですが、UIのデザインについては、欧米でも事前にテストを実施し、グローバル全体で改善に取り組んでいます。

岩上氏: やはりユーザーへの「やさしさ」というのが、HCI導入を促す1つのポイントになるのだと思います。昨今は中堅企業でも、伸縮性の高いシステムを求めています。しかし、調査結果を見ると、まだまだビジネスの変化にシステムが即応できていない企業が多いのが現実です。今後のトレンドがどうなるかは、注意深く見守る必要はありますが、HCIが中堅企業の情シスの助けになることを期待しています。

尾藤氏: もはや、お客さまが仮想化システムをHCIなしで検討することはないと思っています。新規業務システムの構築や既存環境の仮想化など、スモールスタート、かつ短手番で始められるというHCIのメリットを享受いただけると思っています。開発はグローバルで行っていますが、われわれは日本のお客さまの「かゆいところ」に手が届くように、開発と協力して製品をアップデートしていければと思っています。


 リソースの伸縮性が高く、クラウド感覚で使えるオンプレ環境であるハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)。この対談からも、ビジネスの変化に即応するために、なくてはならない選択肢になりつつあることが分かります。

 次回は実際にHCIを導入する際にはどうすればいいのか、富士通の「PRIMEFLEX」を例にその方法や、具体的な機能を技術視点で解説していきます。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2018年3月13日