世界最大級18TBのリアルタイムマネジメント基盤をSAP HANAで実現したNTTドコモSAP TechDays Tokyo 2017:SAP IT Leaders Summitレポート

先進企業は、SAPの最先端テクノロジーを活用することで、いかにビジネスを変革しているのか。2日間で開催された「SAP TechDays Tokyo 2017」の初日には、「SAP IT Leaders Summit」と題し、先進企業のSAP活用事例が紹介された。

» 2017年06月26日 10時00分 公開
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2日間で1500人以上が来場した「SAP TechDays Tokyo 2017」

 SAPジャパンは6月6日〜7日の2日間、「企業の競争力はテクノロジーでもっと強くなる」をテーマに「SAP TechDays Tokyo 2017」を開催した。SAP TechDaysは、その名のとおり、SAPのテクノロジーがいかにビジネスに貢献できるかを紹介するイベントである。2日間で1500人以上が来場した。

 6月6日は、「SAP IT Leaders Summit ― 先進企業のSAP活用事例を学ぶ」をテーマに、テクノロジーを活用してビジネスを運営する実践例を紹介。オープニングに登場したSAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長の鈴木正敏氏は、次のように語る。「SAPはERPからテクノロジー、そしてプラットフォームの会社へと変革した。SAP HANAはグローバルで1万社以上に採用されており、日本でも、NTTドコモが18TBという世界最大級のシステムを構築している。SAPジャパンでは、今後もお客様やパートナーにとって有益なサービスを提供していく」

 続いてSAP基調講演には、SAP SE President SAP Database & Data Managementのグレッグ・マクストラヴィック氏が登場。「未来志向型デジタルビジネスを実現するデータストラテジーのモダナイゼーション」をテーマに、SAP HANAを中核とした「モダン・データ・プラットフォーム」を紹介した。

 「現在、データはデジタル変革における通貨といわれているが、現実には利用可能なデータの10%しか活用されていない。残りの90%をいかに活用できるかが企業の競争力につながる。そこでSAPでは、バイモーダルITを提唱し、これを実現するモダン・データ・プラットフォームを提供している」(マクストラヴィック氏)

 SAPが提供するモダン・データ・プラットフォームは、パフォーマンス、自由度、モデル、独立性、低レイテンシー、ガバナンス、フリクションレスのすべての要件がユニバーサル・データ・アクセスに最適化されている。マクストラヴィック氏は、「アナリティクス、トランザクション、ワークロードを統合し、全てのデータを対象にしたリアルタイムの情報活用を実現できる」と話した。

SAP HANAを中核にリアルタイムの情報活用を実現する「モダン・データ・プラットフォーム」の構成図

SAP HANAの採用で競争力強化を目指すNTTドコモ

NTTドコモ 情報システム部 部長 長谷川卓氏

 IT Leaders基調講演には、NTTドコモ 情報システム部 部長の長谷川卓氏が登場し、「NTTドコモの競争力強化戦略」をテーマに講演。中期戦略2020「beyond宣言 〜想いをつなげ、5Gでより豊かな未来へ〜」の取り組みの一つとして、SAP HANAの導入により、NTTドコモは何を実現しようとしているのかを紹介した。

 エヌ・ティ・ティ移動通信網として1992年に設立され、2017年で25周年を迎えるNTTドコモは、グループ117社で事業を展開し、2017年3月末現在、携帯電話契約者数は約7500万で、その内約3600万がスマートフォン/タブレット端末の利用者だという。今後、さらに顧客やパートナーとのつながりを深化させる取り組みがbeyond宣言である。

 「beyond宣言を実現するためには、高速・大容量、低遅延で、数多くのデバイスと連携できる通信インフラが重要になる。通信インフラ革新により、世界を先導し、社会と産業の発展に貢献する。その一環として、リアルタイムマネジメント基盤を核としたデータドリブン経営の実現に取り組んでいる」(長谷川氏)

beyond宣言の一環として、リアルタイムマネジメント基盤を核としたデータドリブン経営の実現に取り組んでいる

SAP HANAを核にデータドリブン経営を実現

 NTTドコモの基幹システムは、顧客システム「ALADIN」や料金システム「MoBills」、会計人事システム「DREAMS」、イントラ基盤「DiSH」などで構成されている。ALADINのトランザクション数は1日当たり約3000万件で、MoBillsは1日当たり約12億件。リアルタイムマネジメントを実現するために、24時間365日稼働している。

 最大の特長は、業務、データ、金、モノの流れが完全に一致していること。これにより、経営の現状をリアルタイムに把握できる。このリアルタイムマネジメント基盤を核としたデータドリブン経営の目的は、業務プロセスの改善と、お客様を深く理解することによるサービスの創造・進化の2つである。

 そのための仕組みが、フロント業務データ可視化基盤システムである。可視化基盤システムでは、SAP HANAのスケールアウトモデルを採用し、9ノード構成で18TBという世界最大級のデータを取り扱える構成になっている。この基盤をBIシステムと組み合わせることで、各部門が必要な時に、必要なデータに、瞬時にアクセスして分析できる環境を整えている。

 長谷川氏は、「シンプルな構成にしているが、大容量データを取り扱う仕組みなので、技術的な課題はもちろんあった。課題については、SIパートナーであるNTTデータのサポートで解決できた。これまで課題だった、性能、開発期間、見たいデータが常に変化するという3つの壁を乗り越えられたことが、SAP HANAを採用した理由」と話す。

オペレーションデータの可視化で業務改善

 SAP HANAを採用した可視化基盤システムを構築したことで、業務改善の取り組みが推進されている。以前は、専門家が基幹システムからデータを抽出し、資料を作成して印刷した資料を担当者に提供し、それを使って打ち合わせをするという業務を繰り返していた。そのため、定型的なデータ活用しかできなかった。

 SAP HANAを導入したことで、担当者がダッシュボードを利用して、大容量データをリアルタイムに活用できるようになっている。これにより、本当の意味でのデータ活用が実現した。これまでの業務改善は勘と経験に頼っていたが、データに基づいた業務改善が可能になった。現場の担当者が、「自ら可視化できる」ことが最大のポイントである。

ダッシュボードを利用して、大容量データをリアルタイムに活用することで、本当の意味でのデータ活用が実現した

 一方、経営面においても、これまではベストエフォート型になりがちだったが、SAP HANAによるデータ活用で、可視化(課題発見)、改善計画(分析・仮説)、施策実行、効果検証というPDCAサイクルを継続して高速で回すことができるようになった。

 可視化基盤システムの効果として、代理店営業において販売目標KPIの進捗や店舗スタッフの多角的な評価が可能になった。また法人営業では、法人営業の量と質を評価できるようになり、さらにマーケティングやマス営業部門では、キャンペーンの実績を効果的に確認し、施策の実績を多角的に比較できるようになった。

 2020年、さらにその先に向けNTTドコモでは、リアルタイムマネジメントにより、顧客とのあらゆる接点を通じて情報を収集し分析することで、つながりを深めていく。そのためには、基幹系システムだけでなく、グループ全体のデータも一元管理し、AIや機械学習などと連携することが必要になる。

 長谷川氏は、「お客様一人一人に最適な応対を提供するには、SAP HANAは不可欠。今後さらにオープンなビジネスプラットフォームとして、パートナーとのビジネス協創にも拡大していく。また人材情報を可視化することで、社員のパフォーマンスを最大にする"働き方改革"にもつなげていきたい」と締めくくった。

圧倒的な性能と日本品質を満たせるSAP HANA

NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部 第二テレコム事業部 開発統括部 シニアDBスペシャリスト 野田将史氏

 SAP HANAの事例講演には、NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部 第二テレコム事業部 開発統括部 シニアDBスペシャリストの野田将史氏が登場。「世界最大級スケールアウトSAP HANA 〜高性能が要求されるNTTドコモ可視化基盤でのNTTデータの取組〜」をテーマに講演した。

 野田氏は、「NTTドコモでは、リアルタイムマネジメント基盤を核としたデータドリブン経営の実現を目指していた。これを実現するには、オペレーションデータの可視化による業務改革が必要だった。そのためには、さまざまなデータを、高速に、誰でも利用できる基盤を構築しなければならなかった」と当時を振り返る。

 具体的な要求として、63TBのデータソースから分析結果を2秒以内で返すこと、ピーク時には、1日1.5TBにおよぶデータを2時間以内にロードすること、増大するデータ量に合わせた拡張が可能なこと、高い品質でシステムを構築・運用できることなどが求められた。

 「NTTドコモの要件をすべて充足できるシステム基盤として、インメモリーデータベースによる高速処理と、カラムストアによる大量データ参照の仕組みが必要だった。また拡張性の要求を満たすためには、スケールアウト構成が可能なことも必要だった。これらの要件を満たす最善の仕組みとして、SAP HANAを選定した」(野田氏)

 SAP HANAの性能を最大化する取り組みでは「データ読み込み」「ノード間転送」「結果作成」の3つの要素に対し、基礎値を採取しながら最適解を模索した。その結果、ブラウザやBIサーバは描画処理に、分析処理はSAP HANAに集中することで、63TBのデータソースから分析結果を2秒で返す仕組みを実現した。

 「SAP HANAは、圧倒的な性能と日本品質を満たせる製品であり、NTTドコモにとってベストな選択だった。ただし、効果を最大化するには、SAP HANAのアーキテクチャとお客様の要件を理解することが必要。NTTデータは、この経験とノウハウを生かし、お客様の競争力強化と働き方改革の実現に貢献していく」(野田氏)

左からインテルコーポレーション アンドリュー・ムーア氏、NTTドコモ 長谷川卓氏、SAP グレッグ・マクストラヴィック氏、SAPジャパン 鈴木正敏氏

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提供:SAPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2017年8月16日

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