1993年の「DW-6300」に始まるG-SHOCK「フロッグマン」。電波ソーラーへの進化や独自の水深センサー開発など多くの変革をへて海難救助のプロ御用達になった。その歴史を振り返る
「FROGMAN(フロッグマン)は、G-SHOCKの中でも特にユーザーから愛されているシリーズ。熱心な愛用者がたくさんいます」——カシオ計算機で商品企画を担当している牛山和人氏は、自身も熱心なユーザーの1人だ。学生時代、最初に購入した腕時計は初代フロッグマン「DW-6300」(1993年発売)。他の人とは違う腕時計が欲しくて派手な黄色を選んだ。
DW-6300は、200メートルの潜水用防水に加え、潜水時間や潜水開始時刻を表示、記憶できる「ダイバーズウォッチ」として登場した。「潜水艦のハッチ」をイメージしたという丸いケースはバンドに対して非対称の“偏心”配置とし、手首を曲げても手の甲に干渉しない。この基本デザインは、25年が経過した現在のモデルにも受け継がれている。
95年発売の「DW-8200」は、軽量でさびにくいチタンをケースに採用した初めてのモデルだった。ELバックライトを搭載し、ログデータメモリーなど機能面も充実した。また99年には、メジャーなダイビングポイントをプリセットした「サイト機能」、緊急時に必要なCカードナンバーや連絡先などを記憶できるIDメモリ機能、潜水中の電池切れを防ぐBLD(電池切れ記憶)機能などを追加した「DW-9900」が登場し、フロッグマンのダイバー向け機能は完成度を増す。
2001年の「GW-200」では、そうした機能を継承しつつソーラー充電を実現。09年の「GWF-1000」では電波時計の機能も加え、カシオが目指す“腕時計の進化形”である「電波ソーラー」の仲間入りを果たした。
「フロッグマンは、G-SHOCKの中でも電波時計になったのが遅い方でした。防水のためにスクリューバック(ねじ式の裏ぶた)でアンテナを閉じ込めると電波を受信できなかったからです。しかし、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)という表面加工を裏ぶたとケースの両方に施すと電波が受信できることが分かり、GWF-1000でようやく実現できたのです」(牛山氏)
他社製品ではパッキンを使って裏ぶたとケースに隙間を作り、電波を受信できるようにした製品も存在するが、当然スクリューバックの方が耐久性は高い。コストよりも性能を重視するのはフロッグマンの伝統でもある。
ただ、ダイバーズウォッチをうたいながら水深計を搭載していないフロッグマンは「丘ダイバー」などと揶揄(やゆ)されることもあったという。3年前にフロッグマンの商品企画を担当することになった牛山氏は、プロの意見を商品作りの参考にしようと海難救助を行う海上保安庁のプロダイバーを訪ねた。そこでダイバー御用達の他社製ウォッチが製造終了になり、困っていることを知る。
「もしカシオで作るとしたら、どんな製品にしたら良いか。詳しく聞くと、水深計に加えて方位計(コンパス)もあった方がいいと分かりました。彼らは海難救助の際、濁って視界の悪い海にも潜らなければならないからです」(牛山氏)
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