シンバイオティクスってなに? 「シンバイオティクス ヤクルト W」の開発秘話に迫る新たな価値を打ち出す

コンビニやスーパーなどで「シンバイオティクス ヤクルト W」をよく目にするようになってきた。ところで、この「シンバイオティクス」って、どういう意味なのか。ヤクルト本社で商品開発に携わる担当者に話を聞いたところ……。

» 2019年07月05日 10時00分 公開
[ITmedia]
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 「プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)」と「プレバイオティクス(腸内の有用菌を増やすガラクトオリゴ糖など)」を一緒に摂取する「シンバイオティクス」。聞きなれない言葉だが、「プロバイオティクス」が持つおなかの健康を守る働きを高めることが期待できるので、健康が気になる人は覚えておいて損はないだろう。

 この「シンバイオティクス」に以前から注目していたのがヤクルト本社。これまでにも、「乳酸菌 シロタ株」と「ガラクトオリゴ糖」の両方を含んだ商品を手がけてきたが、現在発売中の「シンバイオティクス ヤクルト W」は、はじめて「シンバイオティクス」を前面に打ち出し、乳酸菌飲料の新しい価値として訴求することにした。「シンバイオティクス ヤクルト W」は1本(100ml)につき「乳酸菌 シロタ株」300億個、「ガラクトオリゴ糖」2.5グラムを含む。ビジネスパーソンを中心に幅広い世代に親しまれ、おなかの健康維持に一役買っている。

乳酸菌飲料のリーディングカンパニーとして新たな価値を打ち出す

 「シンバイオティクス ヤクルト W」は2017年10月に全国のセブン-イレブンで先行発売され、翌11月に全国のコンビニやスーパーなどで発売された。企画されたのは16年のことだった。

 「当時、各社から機能性をうたった食品が次々に発売されました。乳酸菌飲料のリーディングカンパニーとして何かしら新しい考え方や価値を提供しなければならない中で注目したのが、『シンバイオティクス』でした」

 開発を担当した開発部開発課の吉田大輔氏は、当時をこのように振り返る。

「シンバイオティクス ヤクルト W」の商品開発に携わった吉田大輔氏

 「シンバイオティクス」は決して新しいものではなく、1995年に英国の微生物学者が提唱したもの。同社が社員研修などの際に配布する資料にも記述されているほどである。

 同社は「プロバイオティクス」素材として、ヤクルト類に欠かせない「乳酸菌 シロタ株」を持ち、「プレバイオティクス」素材として「ガラクトオリゴ糖」を以前から有している。これまでにも、「ヤクルトAce」や「ヤクルト300V」(ともに生産は終了)など両方の素材を使った商品を開発・製造・販売してきたが、「シンバイオティクス」を特別訴求してこなかった。

 しかし近年、乳酸菌の持つ健康効果により注目が集まるようになる。「お客さまには今まで見えていなかった『シンバイオティクス』の価値を押し出すにはいい時期」(吉田氏)だったことから、「シンバイオティクス」を明確にうたった商品を開発・発売することにした。

飲み飽きることなく毎日飲んでもらえる味をつくる

 「シンバイオティクス ヤクルト W」のメインターゲットは、20〜40歳代の働く男女。出勤途中にコンビニに寄り、1本購入してから出社するシーンをイメージした。

 ターゲット世代に飲んでもらうことを意識し、容量を「Newヤクルト」の65ミリリットルより多い100ミリリットルと、飲みごたえのある量にした。

 容量を増やしたことでポイントになったことは、飲み飽きることなく毎日継続して飲んでもらえる味にすること。甘すぎたり重く感じられたりすることのないものが求められた。また、甘さだけでなくカロリーや糖質も気にするので、甘味料の選定にも気を遣った。

 開発で一番時間がかかったのが、この甘味料の選定であった。味づくりを担うメンバーに「メインターゲットは20〜40代」「甘さはひかえめでお願いしたい」といった要望を伝え、試作と検証を重ねる。種類だけでなく配合量も変えながら試作品をつくり検証した。結果、すっきりとした風味で飲みやすい、現在の味にたどりつくことができた。

何度も風味評価を繰り返し、処方を決定した

コンビニで売るためにおなじみの容器ではなく背の高い紙容器を採用

 「ヤクルト」といえば、立体商標として登録している独特の容器形状がおなじみだが、「シンバイオティクス ヤクルト W」は容量アップに伴い背の高い紙製パッケージを採用した。ブランドアイデンティティともいえるあの容器を使わないことに対し、社内ではやや否定的な向きもあったが、先に発売された「毎日飲むヤクルト」の紙製パッケージが店頭では好評だったこともあり、採用には比較的理解が示された。

 背の高い紙製パッケージの採用に理解が示されたのは、コンビニ対策という面もあった。コンビニは店頭での視認性を重視するため背の高いパッケージが求められ、「パッケージの背が低いだけでマイナスの評価になる」(吉田氏)ほど。商談の俎上(そじょう)にのぼるには、背の高いパッケージの採用が必須条件だった。吉田氏はこう言い切る。

 「ヤクルトのあの容器は大事に考えていますが、販売チャネルに合った柔軟な対応が必要だとも思っています。お客さまの健康に貢献する手段として、今まで使ったことのないパッケージをヤクルト類で活用することも必要です」

 デザイン面では、商品名の「W」を強調し、シンボリックな六角形の中に「乳酸菌 シロタ株」と「ガラクトオリゴ糖」を表記。店頭映えするか、おいしそうに見えるか、などといった点を評価して決めた。

 パッケージデザインは頻繁にリニューアルしており、年2回は実施するようにしているという。頻繁にリニューアルする理由を、吉田氏は次にように話す。

 「店頭で売るものなので鮮度感が求められるからです。コンビニに置き続けてもらうには新鮮さが不可欠になります」

 パッケージデザインのリニューアル作業は、新デザイン発売直後から始まる。まず、数百人規模でのデザイン調査を実施。その結果を踏まえて変更点を決め、デザインを発注する。文字が見えにくいなどネガティブに評価された点を改善するほか、より「シンバイオティクス」の浸透や特長訴求ができるよう微調整を繰り返している。

「乳酸菌 シロタ株」と「ガラクトオリゴ糖」の2つだけを訴求

 「ヤクルト」の課題のひとつに、若い世代のユーザーをなかなか獲得できていないことが挙げられる。ただ、「シンバイオティクス ヤクルト W」のユーザーは、他のヤクルト類の商品と比べても、20〜40代のユーザー割合が高いという。

 メインターゲットとしていた世代に訴求できているのは、ビジネスパーソン向けに制作したテレビCMが好評なことに加え、商品がシンプルで分かりやすいことがある。「シンバイオティクス ヤクルト W」は訴求ポイントを「乳酸菌 シロタ株」と「ガラクトオリゴ糖」の2つに絞っている。テレビCM内では「2つの強さ」とメッセージした後に、「腸から健康に」と投げかける。「乳酸菌 シロタ株」と「ガラクトオリゴ糖」の2つが健康にいいものというイメージを浸透させた。

 味に関しては「甘すぎずおいしい」という声が多く、容量が「Newヤクルト」より増えたので飲みごたえがある点を評価する人も多いとのこと。「ターゲットに合った容量であったと思います」と振り返る吉田氏。甘すぎないから飲みきることができ、飲みごたえがあることを実感できるというわけだ。

メインターゲットの20〜40代に訴求できているという

販売はコンビニやスーパーの小売店ルートで

 全国のコンビニ、スーパーで販売されている「シンバイオティクス ヤクルト W」だが、もっとも購入されている時間帯は朝。通勤途中でコンビニに寄って購入し、一本飲んでから会社に向かうか、持って行くユーザーが多いと思われる。

 最後に、「シンバイオティクス」をもっと効果的に生活にとりいれる方法について聞いたところ、「毎日飲むことが大事」と吉田氏。「習慣化することが重要」だと強調する。

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提供:株式会社ヤクルト本社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年8月6日