ビジネスを成功に導くAI・アナリティクス活用のポイントビジネスの現場で加速するAI・アナリティクスの活用

近年、さまざまなビジネスの現場でAI・アナリティクスを活用したデータ分析を取り入れたいというニーズが高まっている。しかし、分析に使えるデータの収集や蓄積が不十分だったり、データを分析できる人材が社内に存在しなかったりなどの課題を抱える企業も多い。こうした課題を解決するNECの提案とは……?

» 2017年03月13日 10時00分 公開
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 ビジネスの現場でAI・アナリティクスを有効活用するために、まず何をするべきか――。

 2017年2月17日、NEC本社 講堂(東京・港区)で同社主催のイベント「開きましょう! AI・アナリティクスの扉 〜データ分析を、あなたのビジネスに活かしませんか?」が開催された。同イベントでは、近年大きな話題を集めるAI技術の最新動向や、それを実際にビジネスに適用した事例の紹介などが行われた。

 基調講演には、ベストセラー「統計学が最強の学問である」の著者であり、データ分析・統計の専門家である西内啓氏が登壇。数多くの企業や組織のデータ分析を支援してきた経験を踏まえたデータ活用のポイントとして、統計学とAIの住み分けや、AIビジネスや統計学で考えるべきポイント、データ分析の価値を生かすための組織のあり方などについて数々の提言が行われた。

AI・アナリティクス活用の第一歩は「データの整備」

 「AI・アナリティクス活用、成功へのステップ」と題したセッションでは、NECのBigdata Platform Engineering Centerの三国晋章センター長が登壇。冒頭で次のように述べ、AIを活用する上での「データの重要性」を強調した。

 「データウェアハウス(DWH)やBIが登場したころから、20年以上に渡りデータ活用に関する仕事を続けてきたが、その間終始一貫して『分析が可能なデータを持っているかどうか』がデータ活用の成否を分けると申し上げてきた。このことを念頭に置きながら、当社のAI・アナリティクスの取り組みが皆さんのビジネスにどうお役に立てるのか紹介していきたい」

 NECは1996年からDWHのビジネスを立ち上げ、2010年からはDWHアプライアンス製品の提供を開始し、12年からは米SASとの協業を開始。アナリティクスのさまざまな分野で高い実績を上げてきた。また、1960年の早期からAIの研究開発も始めており、16年には、同社のAI技術群を「NEC the WISE」というブランドにまとめ、「見える化」「分析」「対処」という3つのカテゴリに個々のAI技術を分類した上で、顧客企業ごとのニーズに即したソリューションを提供している。

photo 三国晋章センター長

 実際、NECは数多くの商談を経験しており、AI・アナリティクスに対するお客様の期待は、大きく「高度な監視からヒトの運用を支援」「ヒトの不正を検知、ヒトの安全を守る」「ヒトのノウハウを製品/サービスに還元」「ヒトの心理を推定、ヒトに新価値付与」の4つの領域に集約されると考えている。

 例えば、「高度な監視からヒトの運用を支援」の領域では、環境プラントの膨大なセンサーデータをSASにより分析を行い、センサーデータ間の相関関係を発見し、異常予兆検知による早期対応や、稼働率の向上にむけて実機検証中である。

 また、「ヒトのノウハウを製品/サービスに還元」では、グループ会社のNECフィールディングにおいて、PCなどの補修用部品の需要予測に「NEC the WISE」の異種混合学習技術を活用したビッグデータ分析を導入し、これまでの分析手法では得られなかった高い精度の需要予測を実現した。これにより在庫を2割削減し、数億円規模のコスト改善に成功したという。

 さらに、「ヒトの心理を推定、ヒトに新価値付与」の領域では、オンライン英会話サービス事業者であるレアジョブ様で、会員と講師のマッチングにAI技術を応用することで、顧客満足度の向上を見込んでいる。

 これらの事例以外でも、幅広い分野でSASや「NEC the WISE」を活用したソリューションを提供しており、実績も上げている。

 では、AIやアナリティクスのビジネス活用を成功するためには、何がポイントになるか?

 「『AIやアナリティクスなど、高度なデータ分析で何かを始めたい』という要望を多くの企業からいただくようになった。しかし、既にデータの収集・蓄積・見える化を実現している企業なら、その次のステップであるAI・アナリティクスによる高度な分析に進めるが、実際には分析に必要なデータの収集や蓄積がまだ実現できていない企業も多い。そうした場合、まずは分析対象データを蓄積し、活用できる形で管理する必要がある」(三国センター長)

 そこでNECが提案するのが、企業や組織の中で部門ごとにバラバラに散在しているデータを一つにまとめ、部門を横断して分析できるようにする「Data Lake」の考えだ。このData Lakeを具現化するためにNECが提供するのが、「NEC Analytics Platform」と呼ばれるAI/ビッグデータ活用基盤。データの連携や処理、分析に必要なさまざまな製品を組み合わせることでデータ活用に最適化され、かつ高い拡張性を持つシステム基盤を構築できるという。

photo 「NEC Analytics Platform」

 またデータ分析に取り組む際に聞かれる課題として、「投資対効果の見極めが難しい」という声も多く聞かれる。その課題に対し、NECではクラウド環境でAI/ビッグデータ活用基盤を提供し、初期投資を抑え、効果を検証することができるソリューションを提供している。

 「具体的には、当社のクラウドサービス『NEC Cloud IaaS』上にデータ統合を実現するData Platform for Analyticsサービス(DWH環境)を用意しており、さらに、SAS、NEC the WISE、Dr.Sum EAなどのBI/BA及びAIエンジンを実装する事でデータ統合・分析環境をトータルにカバーできるサービスとしていく。なお、2017年上期には、『NEC Cloud IaaS』上のSASにNECのデータサイエンティストのノウハウを詰めた『アナリティクスボード』を組み合わせたサービスも提供する予定だ。これらの取り組みで、より多くの企業が、AIやアナリティクスを少ない投資で手軽に試せるようになる」(三国センター長)

 NECとSASはクラウド環境においてAI領域での協業も強化している。NEC the WISEとSASを連携し、異種混合学習エンジンで需要予測モデルを作成し、SASを利用して日々の需要予測を運用するソリューションも提供している。

 最後に三国センター長は、AI・アナリティクスの成功のステップとして、まず「データの整備」、そして「目的にあった分析手法の選択」と「実績のある支援サービスの活用」を挙げ、講演を締めくくった。

データサイエンティストがビジネスにもたらす新たな価値

 「データを分析できる人材がいない」「データ活用のプロセスが存在しない」。これらの課題解決にNECはデータサイエンティストによるデータ活用支援サービスを提供している。

 実際にデータサイエンティストとしてこのサービスの提供に当たる同社・ビッグデータ戦略本部の孝忠大輔シニアデータアナリストは、「NECデータサイエンティストが語る“アナリティクスによる新たな価値創造”」と題した講演で、同社のデータサイエンティストの仕事内容や成果について紹介を行った。

 NECのビッグデータビジネスの中核メンバーとして活躍する孝忠氏は、データサイエンティストの認知拡大やスキル定義などの活動を行うデータサイエンティスト協会スキル委員会の委員も務める。同協会では、データサイエンティストという職業を「データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースに、データから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」と定義している。

photo 孝忠大輔シニアデータアナリスト

 その仕事内容は多岐にわたる。多くの人がイメージする「データ分析の専門家」とは違い、多くの領域をカバーしていると孝忠氏は述べる。

 「いくら優れた予測モデルを作っても、それが実際に使われなければ意味がない。構想の立ち上げから始まり、実際に分析の成果をビジネスへ適用・展開するところまでカバーしなければならない」(孝忠氏)

 従って、データサイエンスのスキルのみならず、ビジネス課題を整理・解決できるビジネススキル、そしてデータサイエンスを具体的な形に実装・運用できるデータエンジニアリングのスキルも併せ持つ必要がある。ちなみにデータサイエンティスト協会では、この3つの領域それぞれで必要とされる422のスキル項目を定義している。

 また、近年AIが大きく取り沙汰されていることもあり、「データサイエンティストはディープラーニングの専門家だと思い込んでいる人も多い」(孝忠氏)と話す。

 「確かにディープラーニングの手法を用いて課題解決に当たることもあるが、それは全体のごく一部にすぎない。実際にはお客さまが抱えている課題の種別や特性に応じて、クロス集計や統計解析といったBI(ビジネスインテリジェンス)の手法や、多変量解析、データマイニングといったBA(ビジネスアナリティクス)の手法など、さまざまなアプローチ方法をケースバイケースで使い分けている」(孝忠氏)

 こうしたデータサイエンティストの活動によって、既に多くの分野でアナリティクスによる新たな価値創造が実現している。自動販売機におけるデータ活用の事例もその1つで、オンライン化された自動販売機から収集した売上データや顧客データなどをさまざまな角度から分析する取り組みが行われている。その結果を基に商品構成や価格設定を検討して売上向上を実現したり、さらには新商品の企画・開発にも生かしたりすることで新たな価値を生む試みが既に行われているという。

photo 自動販売機におけるデータ活用例

 またNEC the WISEのAI技術を用いた「AI活用味覚予測サービス」では、消費者に対してアンケート調査を実施し、その結果をAIが学習することにより、ある特定の価値観やライフスタイルを持つ消費者像(ペルソナ)と「味覚の好み」との関係性を割り出していくという。こうしたサービスを活用することにより、企業はより精度の高いマーケティング施策を打てるようになるとしている。

 このように、既に多くの実績を積み重ねているNECのAI・アナリティクスソリューションだが、「NEC the WISEや、NECのデータサイエンティストのサービスを導入するだけでは、アナリティクスの取り組みは決して成果を生まない」と孝忠氏は指摘する。

 「アナリティクスがビジネスに価値をもたらすためには、データを収集・分析する組織だけでなく、その成果を実際のビジネスに適用する現場の取り組みが欠かせない。データからいくら素晴らしい知見が得られても、それが結局ビジネスの現場に生かされなければ意味がない。そういう意味では、場合によっては自社だけでなく外部のビジネスパートナー企業も巻き込んで、チームとして取り組むことが重要だ。NECもその一員として、ぜひ多くの企業がアナリティクスにより新たな価値を創造するお手伝いができればと考えている」(孝忠氏)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2017年4月14日